はやし雑記

はやしです

コーヒーサイフォンとの運命的出会い

熱湯は重力に逆らい、上のガラスボールへと流れていく。

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はじまり

きっかけはある日突然届いた一通のダイレクトメールだった。僕自身全く予想していなかったし、同じものが届いた人の殆どが予想外の郵便物に驚きを感じただろう。届いた冊子の表紙には、「auポイントが5000ポイント以上貯まっているあなたに」と書いてある。 auの回線を契約して1年強になるが、郵便物が届くまで一度もauポイントを確認したことは無かった。数年前に読んでいた本を読み返すと、本の間に栞代わりの紙幣が挟まっていた時のような感覚を感じながら(実際そのような事は起きたことは無いが)、冊子を捲ってポイントを確認する。 "22,060 ポイント" …………僕は想定外のポイントの量に驚きを感じながら冊子を捲り、商品を眺めた。

正直に言って、あまり心惹かれるものは無かった。HHKBも無かったし、三島由紀夫の小説も無かった。 でも、折角のポイントを米や飲料水に使ってしまうのは少し勿体無いような気もしたので、普段買わないような特別な何かを買おうと思った。

ケーキ屋でなんでも好きなものを選んでいいよと言われ、どれにしようか迷う子供のような気持ちで僕は冊子を捲った。 キッチン雑貨が多い。コーヒーサイフォンなるものがある。値段も手頃そうである。

ところで、僕はコーヒーが好きで、一日に3、4杯はいつも飲んでいる。でも、これまではコーヒーを淹れると言ってもドリップバッグかハンドドリップだった。 喫茶店でたまに見かける、コーヒーサイフォン。これで淹れたらどんなコーヒーになるのだろうか、という純粋な好奇心からこれを買うことに決めた。

2016年の12月末頃の注文し、2017年1月3日19時頃に家に到着した。

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発熱反応、その源

僕は飾るためにこれを買ったのではない。この道具は使うために作られ、使うために僕の元まで届けられたのだ。 コーヒーサイフォンは水を加熱する為の熱源が必要である。オーソドックスなアルコールランプ式のものもあれば、電気式のものもある。先日行った大学の近くの喫茶店では小型のガスコンロのようなものだった。 今回僕が買ったのは、アルコールランプで加熱するタイプのものである。付属品に燃料用アルコールは入っていないので、燃料用アルコールを求めて近所のドラッグストアへ行った。薬を売る店舗とは思えない程に変化した最近のドラッグストア特有のわかりにくい商品配置の中を探すも、燃料用アルコールは見当たらない。仕方なくやる気の無さそうな店員に尋ねると、店の奥から出してきた。釈然としない気持ちを抑えつつ、燃料用アルコールを買った。

蒸気圧が押し上げるもの

必要なものは全て揃った。あとは淹れるだけである。 コーヒーサイフォンの仕組みは、下のガラスボールに入った水を加熱し、沸騰したところで蒸気圧によって熱湯を押し上げ、上のガラスボールでコーヒー豆と混ざりあってコーヒーが抽出される。

上のガラスボールには挽いた豆を入れる前に金属とリネンでできたフィルターをセットする。 フィルターにはバネとフック、金属の鎖が付いていて、バネを引っ張り、このフックを上のガラスボールの下端に引っ掛けることで固定する。

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フィルターがセットできたら豆を挽いて、入れる。

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上のガラスボールの準備ができたら、下のガラスボールに水、または湯を入れ、その上にガラスボールを斜めに入れて火をつける。 アルコールランプの熱量は小さい。だから最初に水を入れると沸騰するまでに非常に時間がかかるので、電気ポット等であらかじめ沸かしておいた湯を下のガラスボールに入れてしまうのが良いと僕は思う。 このとき上のガラスボールを斜めに、隙間ができるように入れなければいけない。しっかりしっかりはめてしまったら加熱途中に沸騰していない湯が上昇してダメになってしまう。 沸騰してから上のガラスボールを差し込むべきと書いてあるところもあったりするが、面倒なので僕はいつもこうする。 加熱を始めたら沸騰するまでじっと待つ。

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ここまではのんびりとしていられるが、ここから少し忙しくなる。 沸騰したらまず、先程斜めに入れた上のガラスボールを今度はしっかりと入れる。僕の買ったものは接合部がゴム製になっていたが、おそらく他の製品でも似たような感じになっているだろう。 沸騰によって水は水蒸気となり、蒸気圧によって加圧され、熱湯は重力に逆らい、上のガラスボールへと流れていく。

これが非常に見ていて楽しいし、美しい。ある人は理科の実験のようだと言う。

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湯が上がると、粉は湯の上に浮かんでしまうので、ヘラでかき混ぜる。 この撹拌の塩梅は人それぞれ好みがあるそうだが、僕は軽くかき混ぜる程度で良いと思う。 さっきも少し触れた大学の近くの喫茶店では、おじさんが淹れてくれるときはあまりかき混ぜないので飲みやすくて美味しいが、おばさんが淹れてくれるときはずっとかき混ぜているせいか苦すぎてあまり好きじゃない。 抽出の間も加熱され続けて、上の湯は絶え間ない沸騰によって支えられる。

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抽出時間は1分弱から3分強くらいだろうか。これも人それぞれ、豆それぞれ、挽き方それぞれである。 一定時間経過したら、熱源を除く。 そうすると下のガラスボールが冷えて、水蒸気が水に戻り、陰圧になって上のコーヒーは下に吸引される。

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コーヒーが下に降りたら、上のガラスボールを外して、カップに注ぐ。 これでもう、至福が訪れる。

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後片付けは豆を捨てて、ガラス器具を軽く水洗いして、フィルターを水を張ったタッパーかなにかに入れて冷蔵庫に入れておくだけで良い。

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美しいだけじゃない

これを買ってから、僕はこいつの虜になってしまった。 確かに重力に逆らって湯が昇っていく様子は見ていて楽しいが、それだけが魅力なわけではない。

まず、僕が最も好きになったのは、定量的にコーヒーを淹れることができる、ということだ。 ハンドドリップの場合、はっきり言って僕も含めて素人が淹れたコーヒーはあまり美味しくない。 僕も自分が淹れたものより喫茶店でハンドドリップしてもらったほうが圧倒的に美味しいと思う。 でも、サイフォンなら豆の量、かき混ぜ方、抽出時間を規定すれば誰でもほとんど同じコーヒーを淹れることができる。 一度淹れてみて、もう少し濃いほうが良いなと思ったら次回から抽出時間を長くしたり、かき混ぜる回数を増やしたりすることで改良を重ねていける。 ハンドドリップではこれは少し難しい。

他にも熱いコーヒーが飲めること、香りが高いことなどが好きな理由として挙げられる。

あとがき

サイフォン最高だからみんなもサイフォンでコーヒー飲もう!!!! 最初気合入れて文章書いてたけど段々面倒臭くなってしまった

今回一眼レフが別件で大学に置きっぱなせいでスマホのカメラで片手で混ぜたりしながらもう片方の手で手ブレしまくり撮影だったから写真がクソ、次からは一眼レフでちゃんと撮るぞ